2003年(平成15年)7月14日 週刊ブロック通信

掲載記事

不同沈下抑制用のブロック

菅尾工業 計量の「SGベース」推進

【静岡】菅尾工業(本社,静岡県田方郡修善寺町熊坂765-1,社長=菅尾信一氏)が開発した沈下抑制板・SGべ一ス(商品名)は,
軟弱地盤に構造物などを敷設したときに起きる不同沈下を抑制する効果のある基礎プロックだ。
SGべ一スは,沈下抑制だけでなく,不要となった発泡スチロールを粉砕して骨材に利用したり、
そのまま製品に埋め込むなどして製品の軽量化を図ると同時に、資源の有効活用にも貢献する製品として
静岡県内の自治体を中心に施工実績を伸ばしている。
5月に茨城県つくば市内で開催された地元コンクリート製品メーカー主催の展示会にも出展され、
各自治体や建設コンサルタントなど多くの関係者から注目を集めた。

軟弱地盤に構造物を敷設する際には不同沈下を抑制するため、
杭基礎を地盤に打ち込んだり、はしご胴木基礎や井桁基礎で上載荷重を支持する工法、
そして固化材を土と混合して固化させる工法などが採用されている。
しかし、いずれの工法も施工場所に制約があったり、
作業効率やコスト面で負担が大きいなど問題点が指摘されている。
こうした施工性や工期短縮などの問題を解決し、
十分な沈下抑制効果を持つ基礎プロックとして開発されたのがSGべースだ。
SGベースは基礎の底面が楔形(楔軸)をしており、
楔軸先端には突起部を設けているので断面形状は漏斗のような形状だ。
この独特の形には、上載荷重の応力を分散させ圧密沈下を抑制する効果がある。
また不要となった発泡スチロール(発泡ポリスチレン)を細かい粒状にして、
コンクリート骨材に利用している。さらにブロックの中心部分にも発泡スチロール塊を埋め込み、
製品の計量化を図っている。発泡スチロールを混入することで圧縮強度は下がるものの、
軟弱地盤に敷設する基礎ブロックとしては十分な強度を有している。
発泡スチロールの単位当たり体積重量は土砂の約百分の一程度と非常に軽い。
骨材とブロック内部に発泡スチロールを使用した結果、
SGブロックの単位体積重量は自然地盤よりも軽い 1.1〜1.3 (ton/m3)を実現し、
十分な沈下抑制効果を発揮する製品となった。

施工はバックホーのバケットでSGべ-スをゆすりながら所定の深さまで押し込んだ後、
基礎材を敷いて転圧するだけなので、特殊な重機や設備なども不要で効率良く行うことができる。
このようにSGべースは従来の軽量骨材と比較しても極めて軽量で、
取り扱い易く施工性にも優れた製品となっている。

製品の基本タイプは脚部が1個のT型、T型を二連にしたU型、三連にしたV型の三種類。
それぞれの基本タイプに二種類から三種類のサイズバリエーションがある。

SGべース開発の経緯と最近の動向について同社では
「N市近隣地域では地下水位が高く軟弱な地盤が多い。このような地盤ではマンホールを設置すると、
場所によっては一五センチから二〇センチも沈下してしまうことがある。
また下水道管も埋戻しに使う砕石の土圧で簡単に不同沈下を起こしてしまう。
そこで、昔から沈下防止のために様々な工法が採用されてきたが、
作業効率やコスト面の問題などがあり、いずれの工法も決め手を欠いていた。
そこで八年ほど前にN市から沈下抑制について相談を受けたのをきっかけに開発したのがSGべ-スだ。
開発当初、まず下水道のマンホールと下水道管の下にSGべースを試験的に設置してみたところ、
軟弱地盤でも不同沈下を起こさず十分な効果があることが分かった。
その後、マンホールだけでなくボックスカルバートや側溝などでも試してみたが、
いずれも十分な沈下抑制効果を得ることができた。こうして少しづつ実績を重ねてきたが、
現在ではN市やその周辺を中心にマンホールをはじめ側溝やボックスカルバート、石積ブロック、
L型擁壁など様々な所で利用され順調に施工実績を伸ばしている。
静岡県には県の「新技術・新工法」登録制度があるが、
ここに登録されたことも自治体の信頼に繋がっているのではないか。
また五月につくば市内で行われたコンクリート製品メーカーの展示会では、
二日間という短期問の展示であったにもかかわらず、分権に関する間い合わせが数社あった。
軟弱地盤の不同沈下対策については各地域でかなりの二ーズがあるという印象をもった」と話している。

SGべースは昨年度で施工個所が百カ所を超えたが、施工の内訳は大体マンホールが五〇%、
側溝が四〇%、残りが擁壁やボックスカルバート等となっている。
同社では引続き土木分野での採用を各自治体に働きかけていく方針。
また分権についても応じていく方針だ。
【問い合わせ先】電話〇五五八-七二-一七八一FAX〇五五八-七二-三二五一


TOP 戻る